“月読尊”の妻です。この言葉に心を揺さぶる深い意味があるのです。
全く記述のない“月読尊”をこの世に現わすには見えない世界の想いを感じるしかないのです。この世に“霊言集”なる言葉で語られる多くの書物が存在しますが、果たして光の世界の人々があのように多くの言葉で語るでしょうか?時間も空間も超越した人たちが何を語るでしょうか!
言葉は必要ない世界の人々が多くを語るはずがないのです。心で感じて心で受け止める者たちにだけ、宇宙は真の情報を提供してくれるのです。
“月読尊”が縄文の心を弥生人から守ったのは強く感じていて、それが何なのかを“18年間”問い続けてきました。でもついに、この言葉で闇が晴れる如く明らかになりました。
“月読尊”は三代目“天照大御神”の娘を救いだしたのです。伊都国内乱の最中、三代目“天照大御神”が自決し、素戔嗚が追放され、大陸の“玉依姫”が天照大御神の地位を継ぐことになったのです。三代目“天照大御神”の娘は当然殺される運命にあったのですが、“月読尊”の夫婦はこの縄文の唯一残された正統の血筋を命を懸けて守ったのでした。
何故“月読尊”が“天照大御神”の娘と関わったのでしょうか?
それは孫だったからです。“月読尊”の次男が三代目“天照大御神”の夫だったのです。ここにも“月読尊”が神話に登場しない理由があるのです。“天照大御神”の実在を詳しく書き残せば、倭国の“天照大御神”から、大陸の“天照大御神”へのすり替えの真実があからさまになってしまうのです。
遠い神話の霞の中に“天照大御神”を祀り上げてしまうことで、その存在を実在から遠ざけ、また神がかりさせることで人間“天照大御神”を神格化しているのです。
“大山津見神”と息子“山幸彦”の最大の見解の相違はこの天照大御神問題だったのです。「倭国の心の拠り所である“天照大御神”まで“光武帝”に渡してはならぬ」と言う“大山津見神”を息子“山幸彦”は殺害してしまうのです。
そして“山幸彦”は、三代目“天照大御神”に、息子“鵜草萱不合尊”の妻であり、“光武帝”の娘である“玉依姫”に三種の神器と共に“天照大御神”の座を引き渡すよう強要したのです。
もちろん倭国の心の拠り所を渡す訳にはいかず、かといって“素戔嗚尊”は近くにいず、権力のない義父“月読尊”とその息子の夫ではその強大な力には抗する術はなかったのです。ついに彼女は三種の神器の最大の神“八咫鏡”をはじめ全ての青銅鏡を破壊し、日ノ御子のご神体“太陽”が昇り始めた明け方に首を吊って自決したのです。
早朝、宮殿に出向いてきた妹に発見され、伊都国は蜂の巣をつついたような大騒ぎになったことは想像に難くありません。日ノ御子39歳のことです。死因を自決にするわけにはいかず、逆にこれを利用して倭国制圧の起爆剤に“山幸彦”は利用したのです。ここから先は神話“天の岩戸開き”の神事など神話通りの展開になっていくのです。
ただこの事件の首謀者に仕立て上げられた“素戔嗚尊”をはじめ、“月読尊”の次男で日ノ御子の夫も、追放されたり、殺害されたりしたでしょう。次期“天照大御神”の最大候補はもちろん日ノ御子の娘なのですが、“山幸彦”がそれを許すはずはありません。月読尊夫妻は五歳の孫娘を連れて長男と共に伊都国を脱出するのです。
殺されて封印されている日ノ御子の夫、我が子に、月読尊の妻が語り掛けているのです。